監督しました、宍戸です。
7月26日未明、相模原市津久井やまゆり園で起きた事件を受け
8月8日(月)の夜8時からNHKハートネットTVにて
「緊急生放送 WEB連動企画 障害者施設殺傷事件(仮)」が放送されます。
障害当事者のおひとりとして、海老原宏美さんが出演予定です。
事件の衝撃はあまりに深く、広く、強くありました。
起こされた事態は取り返しがつかず、わたしたちを揺さぶり、
傷つけました。そしていまも傷つけています。
29日、劇場での挨拶を終えてから現地を訪れました。
森が茂る山あいに豊かな川が流れる、穏やかな土地でした。
梅雨明けが発表された翌日、陽射しはさんさんと夏の訪れを告げていました。
セミの声が、園を包み込みながら空に染み渡っていくのが、心に残りました。
障害がある人は、どうしてこういう山あいに暮らすことを余儀なくされるのだろう。
そういうことを、あらためて思いながら、歩きました。
わたしたちが出会うことのなかった人びとの顔と、名前と、人生をいまとても知りたいです。
その人生を大切に慈しんでいた人のきょうの日の苦しみを思うと、思考が止まります。
出会うことがすべてのはじまりだと、わたしは思っていました。
映画には、「出会うこと」を広めていく役割があると思っていました。
でも、そうとも限らないことを、今回知りました。
見ていても、見ていない。聞いていても、聞いていない。出会っていても出会っていない。
出会うだけでは足りないということを、突きつけられました。
わたしたちは、どんな風に出会えたときに、本当に「出会えた」と言えるのか。
何を知ったときに、本当に「知った」と言えるのか。
出会うことのなかった人たちの苦しみを想像しながら、身悶えして、わたしは、それでも出会いたいと思います。
だからこそ、出会いたいと思います。出会いつづけたいと思います。
それしか出来ることはないし、そこからはじまる何かを、やっぱり期待したいと思うからです。
傷つけられた方々にこころ休まる日が来ることを、深く念じています。
亡くなった方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
文責 宍戸大裕
※近くを流れる相模川です。照りつける陽射しの中に、セミの声がやみませんでした。