劇場トークのご報告、第13弾をお届けします。
【7月26日(火)】
テーマ;「どんな質問にも答えます!−お客さんとのトークの日」
ゲスト;海老原宏美さん(出演者)、小田政利さん(出演者)
(海老原宏美)
みなさん今日はお忙しい中お集まり頂きまして、本当にありがとうございます。
映画に出演させて頂きました、海老原宏美です。
(小田政利)
僕も映画に一瞬だけ映ってる、小田です(笑)。よろしくお願いします(拍手)
(海老原)
トークショーと言ってもですね、ちょっと時間の都合上で、10分ちょっとしかとれないんですね。今日のテーマは「なんでも質問受けつけます」ということにしております。映画にまつわることでもいいですし、私たちの生活のこととか性格のこととか趣味とか悪趣味とか(笑)、なんでもいいんですけど、こんなことを聞いてみたいなぁということがあったら、是非なんでも質問お寄せ頂けたらと思うんですが。さあ、先陣を切って質問してくださる方。ありがとうございます。どうぞお願いします。
(お客さん1)
映画の中で、地域でのヘルパー探しをやってましたよね。今もヘルパーさんは足らないんですか?
(海老原)
足らないです。女性も男性も少ないですね。なんかやっぱり続かなかったりだとか、スキルのこともあるし、定期的に来ることが責任が重すぎて嫌だとか、人の命に関わることだからそこまで責任持ちたくないとか、あとはやっぱり介助って技術ももちろんなんですけど、その人とうまくやっていけるかどうかっていう相性の部分とか、やりとりがうまくいくかっていうのが、あるわけですよね。
性格が合うか合わないかが心配だからちょっと中途半端に始めたくないとか、相手の気持ちを考えながら介助やんなくちゃいけないっていうのは、やっぱり基本にあると思うんですけど、その人の気持ちをイメージすることが苦手になっている人も今すごくたくさんいると思うんですよね。
なかなかフリーの人っていうのはいなくて、主婦の方が日中のこの時間だけだったら大丈夫とかっていう方はいらっしゃるんですけど、本当に必要な時間帯を見つけるのはすごく大変ですね。
私、11月から日曜日の泊まりがいませんので、募集中でございます。どなたか東大和沿線の方がいらっしゃいましたら、是非よろしくお願いします(笑)。
(小田)
昔っから人がいない上に経済効果が福祉業界は下がるってことで、もれなく人材が少なくなってしまって。学生さんも昔は「時給がいい泊まりをやる」って言っていたのが、最近はもう、「キレイな、ラクな仕事の方がいい」っていうんで、特にいなくなってしまって。さらにもうひとつ、福祉の学校に行ってる学生さんだったら「勉強のために」って言っていたのが、最近はもう「就職したら福祉の仕事やるんだから、学生時代にバイトやりたくない」って。ホントに人がいない状況が続いてますね。
(海老原)
でも70代の人とか来ますよね。
(小田)
来るね~。
(海老原)
「私、夜勤できます!」って言うけど「いや、出来ないと思うんですけど」みたいなね。
(小田)
ちょっと支えてあげなきゃ出来ないっていうね(一同笑)。
(海老原)
どっちが介護するんだか、みたいな(笑)。ちょっと遠慮しちゃいますよね、それはさすがにね。家事援助だったらいいけど、お風呂介助とかトイレは頼めないな~、っていう方。でもね、一億総活躍で、有難いと言えば有難いんですけど(笑)。みんな出来ること頑張ろう、って思いますね。はい、ありがとうございます。他になにかお聞きになりたいことありますか?はい、お願いします。
(お客さん2)
いつもいろんなテレビ見てて「一体あの人たち、トイレどうするんだろう」って思うことあるんですね。気になることなんですけど。
(海老原)
小田さん、トイレだって。
(小田)
トイレはもう僕、海老原さんより車いす大きいので、大体「多目的トイレ」。車いすが使える大きいトイレが必要になってしまうので。このアップリンクにもないので、すぐそこの東急百貨店まで戻ってトイレ行ってます。地下1階と3階と6階と9階にあるんですけど…。
(海老原)
そんなにあるんだ(笑)。
(小田)
うん、下調べしときました。で、その隣のBunkamuraっていう建物がトイレきれいかな。そこまで一応、チェックもしてきましたんで。
(海老原)
やっぱりね、多目的トイレってすごく重要で、デパートとかを探すような感じになりますね。だから車いすユーザー、結構トイレに詳しくて、「どこの街にはここのトイレがあるよ」っていうようなことは、みんなよく知っるかなと思いますね。
どうしても体がすごい大きい人で外出しちゃうと、家ではリフトを使ってトイレとかお風呂行くんだけど、外出先にリフトをコロコロ転がしていくわけにはいかないので、外出の時はオムツを使ったり、あとは「バルーン」っていって管を入れておいて、おしっこをためるパックをくっつけておいて、っていう方も中にはいらっしゃいますね。
でも、排泄のコントロールが出来ない方も中にはいらして、やっぱりその、洩らしちゃったときの匂いとかを気にして外出を控えてしまったりだとかっていう方も、まだまだたくさんいると思います。トイレの問題はなかなか切実ですね。
(小田)
あとはひたすらガマン。
(海老原)
ガマン。そう、水分を摂らないようにして、トイレ行かなくするっていう人もやっぱり多いですね。はい、そんな感じでしょうか。他にありますか?はい、どうぞ。
(お客さん3)
分かりますか?
(海老原)
めっちゃ久しぶり~!!高校の同級生です!
(お客さん3)
同じ高校の友達のフェイスブック見てこれ知って。母と一緒に今日は。
(海老原)
そうなんですね。ありがとうございます!え、卒業ぶりだよね!?
(お客さん3)
多分、それぐらい(笑)。うわさでしかもう…。すごくうれしかったです。
(海老原)
わぁ、うれしい、ありがとう!
(小田)
うわさでしか(笑)。それこそ「風の便り」でか。
(海老原)
ホントだわ。つながりますな~。
(お客さん3)
個人的にも今ちょっと、困ってることがですね、駅の再開発でとても複雑になってるんです。もちろん設計する人たちは、車いすの方だとか、お年寄りだとか妊婦さんだとか、そういったのを考えて再開発してると思うんですけども、どうですか?迷うんですよね。池袋駅とかも、渋谷もどんどん地下になって、地下から地上まですごいことになってて。そのあたり、街づくりについての感想みたいなものを聞きたいなと。
(海老原)
「バリアフリー法」っていうのが出来ているので、エレベーターは何センチなくちゃいけないとか、廊下の広さはどうとかっていう細かいことは法律でもう決まってると思うので、それに合わせて作ってると思うんだけど、構造自体を当事者に聞くってことは、まずしないんですよね。なのでエレベーターがすっごい不便で分かりにくい場所にあったりとか、使いにくいってことは本当にあって。
(小田)
渋谷でいうと、地下深すぎちゃって。あそこ、空気が薄いんですよ(一同笑)。
(海老原)
はははは、薄いの!?
(小田)
そう。おまけにちょっと息苦しくなってくるし、で、今、電車なんかもね、ベビーカーと一緒にっていうような発想になってきて、エレベーターにベビーカーがもうブワァ~っと並んじゃって、「息苦しいから早く行きたいなぁ…」みたいな感じになっちゃって。
地下鉄はもう渋谷で乗り換えないで東急東横線のJRとの乗り換えの時は池袋なんかで乗り換えたりしてます。せっかく新しくなったのに結構きびしくて。
ベビーカーの利用者さん、あんだけ多いんだからもっと大きいエレベーターって発想をね、もうちょっと考えてくれれば。ベビーカーはダメってうちらが言うわけじゃなくて、一緒に乗れる大きさに考えてくれれば良かったのにぃ、とか。
(海老原)
ちっちゃいよね~。
(小田)
だから今、海老原さんが言った「当事者に聞いて」っていう、利用者に聞いてっていうのがまさにそこで、まぁホントに…ねぇ。僕は渋谷の「ヒカリエ」でしか車いすの乗り換えができないので、地下鉄乗りたいと思って地下に行ったら、どぉ~こ行っても階段。雨が降ってたんですけどね。もう一回地上に出て、傘、カッパ。カッパのダルマになりながら、ず~っと向こう側まで地上を行ったっていう感じで。
せっかく出来上がったものなんですけど、逆に渋谷はもう使いづらいなっていうのが、実感。
(海老原)
新宿もJRから出ようとしたら南改札しかね、エレベーターで出れないですよ。西口に出たいのに南口に出てグル~って回んないといけないとかいっぱいあるので、なんかどこまで何が便利になったのかなぁ~って感じは、ありますな。
(小田)
新しく出来たと思ったら「新南口」だからね。
(海老原)
そうそうそう。よく分かんない。
(小田)
大体同じようなところにエレベーターが出来ちゃったんで。西口にあったらいいなぁ、なんてね。思うけど。
(海老原)
でも小田さんカッパかぶるとちょっと可愛いからいいよ。
(小田)
いや意味分かんないよ(一同笑)。47の男つかまえて「可愛い」はやめて。
(海老原)
ちょっと面白い感じになるから、見た目が。
(小田)
いやいやいやいや。
(海老原)
皆さん一人ひとりからご意見聞けたら良かったんですけど、本当に時間が無くて残念です。小田さん、最後にまとめを。
(小田)
まとめを?え~っと。僕、この映画作る時の言いだしっぺの一人で、「呼吸器つけていても生きていけるんだよ」って、「在宅で暮らしていけるんだよ」っていうのを広めて行きたいって思いです。こういう風に生活できるんだよ、っていうのを知ってもらって、選択肢のうちのひとつにしてもらいたいなぁと。そのためにこの映画が広まっていってほしいなって、思ってます。
(海老原)
今日、朝から大変なニュースが流れていますよね。知的障害者の施設の方が本当にたくさん亡くなって。施設のあり方ってこれから本当に考えていかなくちゃいけないなと思っているんですけど、私とか小田さんみたいに呼吸器を使う医療的ケアが必要な人で、地域で生活している人ってまだすごく少ないんですね。
どうしても「ドクターとか看護師がいる場所でしか生きていけないんじゃないの?」っていう先入観がたくさんあって、そういうところにまとめて収容されている方がたくさんいるんですよね。でも在宅で私たちがやっていけるんだから、知的の人たちだって、サポートさえあればやっていけるでしょうって、すごく思っていて。
もう、あそこに集団でまとめられているからこそ、今回のような事件も起きてしまっただろうなって、思っているんですね。だから障害種別を問わず、地域でやっぱりみんなで生きていこう、地域の中にいろんな人がいることがいいんだと、いうことを推進していければうれしいなと思っております。
今回の犠牲になられた方々には心からご冥福をお祈りして今日のトークを終わらせて頂きたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
(小田)
ありがとうございました(拍手)。
以上
(要点採録/文責 入間川仁)